柔らかさだけでは、高く蹴れない
「もっと高く蹴れるようになりたい」「しなやかなキックを打ちたい」──そう考えて、ストレッチばかり繰り返していませんか?
実は、関節が柔らかいことと、自由に高く蹴れることはイコールではありません。武術や格闘技の世界では、「柔らかいのに蹴れない」「固そうなのに高く蹴る」人が存在します。その違いは何か?キーワードは、関節の“能動的”な可動域と神経系のコントロール力です。
今回は、ロシアの身体訓練理論『スーパー・ジョイント』をベースに、関節可動域をキック動作に応用する方法をご紹介します。
キックに必要な「動ける柔軟性」
キックで使われる主な関節は、以下のとおりです:
- 股関節(屈曲・外転・回旋)
- 骨盤(前傾・後傾・側方移動)
- 脊柱(特に腰椎の可動性)
- 軸足の足関節と膝関節
この中で最も重要なのが、「股関節を高く引き上げる能力」です。ただし、これを支えているのは柔軟性だけでなく、その姿勢を支え、動かす筋力と神経系の連動です。
能動的 vs 受動的柔軟性
- 受動的柔軟性:誰かに脚を上げてもらったときの高さ
- 能動的柔軟性:自分の筋力だけで脚を上げられる高さ
実際のキックで使われるのは「能動的柔軟性」です。ここを伸ばさずに、ストレッチばかりしていても、高く速いキックにはつながりません。
神経のカギ:「ウフトムスキー反射」とは?
キックのように全身を連動させる動作では、神経系の優先順位(焦点)が大きな影響を与えます。
ロシアの生理学者ウフトムスキーは、「優位焦点理論(ウフトムスキー反射)」という考え方を提唱しました。これは、神経系は一度優先された運動や感覚が、他の動作を抑制するという現象です。
たとえば、キックの際に「軸足を安定させること」ばかりに意識がいくと、脚を高く上げる命令が弱まり、結果として思ったほど脚が上がらないという現象が起こります。
この優位焦点の切り替え能力を高めるには、以下のようなトレーニングが効果的です:
- 「止める→動かす→止める」といった緩急のある動き
- 複数の関節を連動させた状態で静止する練習
- 神経的な“ON/OFFスイッチ”を自覚する動作
実践:キックのための関節可動域トレーニング
続きは下記のサイトでご覧いただけます。

高く、美しく蹴るために──関節可動域トレーニングと神経の関|martialmetrics
柔らかさだけでは、高く蹴れない 「もっと高く蹴れるようになりたい」「しなやかなキックを打ちたい」──そう考えて、ストレッチばかり繰り返していませんか? 実は、関節が柔らかいことと、自由に高く蹴れることはイコールではありません。武術や格闘技の...
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