「痩せる食事法」の代償とは?
糖質をカットして脂肪を燃やす──「ケトジェニック・ダイエット(ケト食)」は、体重を落としたい人の間で一大ブームとなりました。
しかしその起源をたどると、もともとは“命のための食事療法”だったことをご存じでしょうか?
🧬 ケト食のルーツは「病気治療」
1920年代、ケトン体はてんかんの薬が効かない患者のための代替エネルギーとして注目され、治療用の食事法(ケトジェニック・ダイエット)が誕生しました。
それが1970年代に、ロバート・アトキンス医師によって「痩せるための食事法」として再解釈され、一般に広まったのがアトキンスダイエットです。
- 極端に糖質を制限し、脂質をメインエネルギーに
- 体を“ケトーシス”状態にし、脂肪を燃やす
- しかし、長期的な安全性については科学的な検証が不足
🧪 驚愕の研究結果:「わずか2週間」で毒素が倍増
本書『How Not to Age』でも紹介されているように、
アトキンス式ダイエットをたった2~3週間実践しただけで、体内では以下の変化が起こります:
- 血中のメチルグリオキサール(MGO)が倍増
- ケトーシス状態ではさらに上昇し、糖尿病患者と同等の毒性レベルに
- MGOは、AGEs(糖化最終生成物)の前駆体であり、老化・動脈硬化・神経障害の原因物質
これは、アセトン→アセトール→MGOという代謝経路を通じて、
脂肪を燃やす過程そのものが「老化毒素」を生み出していることを意味します。
🧠 脳にとってケト食は「非常時モード」
人間の脳は、1日約120gのブドウ糖を必要とします。
これは全身のエネルギーの約20%を脳だけが使っているという計算です。
しかしケト食では、この糖を極限まで制限するため、脳はケトン体という“代用品”に頼るしかなくなります。
ケトン体は本来、「飢餓時」「断食時」など生存のための非常用燃料。
これを常時使い続けることは、脳細胞にとって異常なストレス状態になります。
🚨 実際に現れる“脳の危機”症状
- 思考力の鈍化、集中力の低下
- 記憶力の低下、ケト脳霧(brain fog)
- 情緒不安定、イライラ、抑うつ気分
- 頭痛、めまい、脱水症状
さらに研究では、ケトン体が以下のような深刻な神経影響を及ぼすことが示唆されています:
生理作用 | 結果 |
---|---|
神経細胞のアポトーシス促進 | 脳の萎縮リスク |
神経伝達物質(セロトニン等)の合成低下 | 気分障害、うつ症状 |
インスリン抵抗性の促進 | 脳の糖利用が破綻 → アルツハイマー型認知症のリスク上昇 |
💥 さらに危険な“代謝毒素”の蓄積
毒素 | 脳への影響 |
---|---|
アセトン | 血液脳関門を通過 → 神経毒性懸念 |
β-ヒドロキシ酪酸 | 血液を酸性化 → 神経細胞ストレス |
アンモニア | 脳浮腫・神経伝達異常を引き起こす恐れ |
特にアンモニアは、肝臓や腎臓が弱っていると排出されにくく、脳に蓄積するリスクがあります。
進行すると「ケトーシス脳障害」と呼ばれる深刻な神経疾患を引き起こすこともあるのです。
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