目次
【1】mTORとは何か?
mTOR(エムトア)は、私たちの細胞が「成長モード」になるか「省エネモード(修復・若返り)」になるかを決める、スイッチのような存在です。
- 若いとき:
- mTORは活発に働き、細胞の成長・分裂をどんどん促進 → 体が育つ
- 年を取ると:
- 同じように働き続けると、体は休むことなく「成長モード」になり、老化や病気の原因になる
例えるなら、mTORは「ブレーキの壊れた車のエンジン」。若いうちは必要だけど、大人になってもスピードを落とせないと、クラッシュ(=老化や病気)に向かって突っ走ってしまう。
【2】なぜmTORを抑えることが重要なのか?
- mTORが過剰に働くと、以下のことが起きやすくなる:
- 老化の加速
- がんのリスク増加
- 細胞のゴミ掃除(オートファジー)が止まる → 細胞の中が汚れていく
【3】mTORを抑える方法はある?
はい、大きく分けて3つあります:
A. 薬(例:ラパマイシン)
- ラパマイシンは、イースター島の土壌から見つかった薬で、mTORを抑える
- マウス、犬、人など多くの動物で寿命を延ばした実績あり
- ただし副作用もあるので、まだ人間での抗老化薬としては一般的に使われていない
B. 食事による方法
① カロリー制限
- 食事量を減らすと、体が「今は食糧不足だ」と判断し、mTORをオフにして修復モードに入る
- ただし、長期のカロリー制限は危険やストレスが多い
② タンパク質制限(特に動物性タンパク質)
- タンパク質に含まれるアミノ酸(特にロイシン、メチオニン、BCAA)がmTORを刺激する
- つまり、動物性タンパク質を減らすことがmTORを抑えるのに有効
- 植物性タンパク質中心の食事(例:沖縄食)はmTOR刺激が少なく、長寿にもつながっている
C. 食材・飲み物によるサポート
- ブロッコリーやトマト:mTORを抑える成分が含まれる
- 緑茶やコーヒー:含まれる化合物がmTOR活性を抑える可能性
- 発酵乳製品(ヨーグルトなど):非発酵の牛乳よりmTORへの影響が少ない
【4】副作用の心配は?
- ラパマイシンは、良い効果もある一方、**副作用(免疫抑制、筋肉減少など)**が出る可能性あり
- ただし、食事によるmTOR抑制(タンパク質制限など)は副作用が少ないとされる
- mTORは筋肉の維持にも関わるが、タンパク質制限で筋肉が減るという明確な証拠はない
【5】結論:毎日できるmTOR抑制のポイント
- 1日あたりのタンパク質は体重1kgあたり0.8gまで
- 植物性タンパク質(豆・ナッツ・全粒穀物)を中心に
- 緑茶やブロッコリー、トマトなどを積極的に
- 加工乳製品(牛乳・ホエイ)は控えめに
- 空腹時間を作る(間欠的断食など)
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